【俄なりのラブを!】ヨルシカ『爆弾魔』が後引く青春と死んでいく現実を爆破した【ラーさん】

 ブログを始めよう、なんて考える数日前。iPhoneの通信機能が壊れ、ただでさえ一人ぼっちの会社で、心の糧だったネット世界に繋がる手段を無くした。趣味のゲームすらもストレスに感じ始める。何をする気力もなくなった私は、Youtubeで好きな音楽を流しながら、くたくたの座椅子の上で目をつぶっていた。

 普段ONにしていない自動再生を偶然ONにしていた。

 そうして私はヨルシカの音楽に触れた。

 

www.youtube.com

 

 詳しく調べたりせず、ただ「私が好きなもの」を紹介する、【俄なりのラブを!】。第1回はボカロPとして活動してきたn-buna(ナブナ)さんと、女性ボーカルsuis(スイ)さんの2人によるバンド、ヨルシカを紹介する。

 

目次

  1. ヨルシカとは
  2. 『爆弾魔』について
  3. まとめ

 

1.ヨルシカとは

 ヨルシカは、2017年に活動を開始したロックバンド。2012年からボカロPとして活動していたn-bunaさんが、ライブのゲストボーカルとして参加したsuisさんと共に結成したバンドだ。

 2017年6月末に1stアルバム『夏草が邪魔をする』をリリース。約10か月後の2018年5月頭に2ndアルバム『負け犬にアンコールはいらない』をリリースして、オリコンの週間ランキング5位を獲得した。by wikipedia

ヨルシカ (バンド) - Wikipedia

 

 活動が始まってまだ1年とちょっと。ライブは昨年の7月に1回だけ。n-bunaさんはボカロPとして現役で活動しているし、結構な数のアーティストとお仕事しているようなので、ヨルシカの活動ペースはこういう調子なのかもしれない。

 n-bunaさんはギターと作詞作曲、編曲を担当している。

 私は基本的に歌詞と声を主食としているので、楽器と曲作りに関してはさっぱり。ただ、ボーカルのsuisさんの声質をしっかり活かす、綺麗な空気感を作るなあとは感じる。その上で、アルバムの表題曲になっている『負け犬にアンコールはいらない』における狼の遠吠えをそのまんま使った演出のように、楽曲の随所に遊び心が散りばめられている。私はこういう使いづらそうな演出をさも当然のように入れられるとすぐぶち上るので、この人の作る音は大好きだ。

 ファーストコンタクトで私がヨルシカに惹かれたのは、どちらかというとsuisさんの歌の方だ(n-bunaさんの作る音楽ももちろん最高だが)。suisさんの声・歌い方どちらも私の好みドストレートだった。

 彼女の声の特徴は、低音に感じられる暗い甘さと、どこまでも広がるような澄んだ高音だ。これがn-bunaさんの歌詞と曲に絶妙に溶け込んでいる。どちらかといえば、歌詞と曲を自分の歌に溶かしこんでいるって感じだが。

 n-bunaさんの作る音楽は、夏の香りがとても濃い。いやになるほど澄んだ青空、影の境界を映したバス停のベンチ、灰色の街並みに熱波、そんなもう過ぎ去ってしまった夏の香りがする。suisさんの声はその世界を、自分の声を通じて歌に変えている。音を自分の声に乗せながらも、決して音に溶けて消えることなくしっかり詩を紡ぐ彼女の声は、心の奥のほうまでじーんと響いてくる。

 歌い方も、彼女の声をしっかり活かしたものになっている。高音と低音の使い方がとんでもなく上手い。歌の中の登場人物は確かに一人なのだけど、子供のころと大人のころの二人が脳裏に浮かぶようなこともざらにある。一つの歌で色々な姿を映し出す彼女の演技力が、n-bunaさんの作った音楽を完成させている。

 

 2.『爆弾魔』について

 今回のブログのタイトルに入っている『爆弾魔』について書いていこうと思う。

 『爆弾魔』は、アルバム『負け犬にアンコールはいらない』に入っている歌で、表題曲の『負け犬にアンコールはいらない』の後、youtubeでもアップされている『ヒッチコック』の前の4曲目に位置している。アルバムの1曲目はオフボーカルで導入になっている『前世』なので、『爆弾魔』は表題曲の後の、アルバムの流れを決定づける曲になる。

 歌詞のリンクを貼っておく。

http://j-lyric.net/artist/a05cf40/l046484.html

 youtubeで『言って』と『ヒッチコック』を聞き、ヨルシカのほかの楽曲も聞きたいと思った私は、その日のうちにiTunesでアルバム『負け犬にアンコールはいらない』を購入した。

 ベッドの上で聞いていて、『爆弾魔』に入ってすぐにうおっとなった。初っ端から、「さよならだ人類、みんな吹き飛んじまえ」だ。いえーその通りだ! みんな吹き飛んじまえ! 明日会社とかやってらんねえ!

 いやテンション上がりすぎだろって思われるだろうけど、違うんだよ。ここのsuisさんの声、めっちゃ少年みがあるの。絶望して攻撃的になった少年っぽさが。『言って』と『ヒッチコック』だけだと想像できない刺激的な歌い方で、言ってしまえばちょっと性的に感じるレベルの色気があって、声フェチ気味の人間からするとそれだけでもーたまんないの。テンション上がるのも仕方ないんだって。

 しかもそこから、「安っぽいナイトショーのワンシーンみたいな夢が見たい」だの、「今日も出来ませんでした、今日もやれませんでした」だの、社会生活に疲れ切った自分にぐさぐさ刺さる歌詞をその調子で続けて歌ってくるものだからもう完敗である。

 そこから続くは堂々たるサビ。ここはiTunesyoutubeのサンプルがあるから是非聞いてほしい。物静かな少年の声の後にやってくる、感情の奔流みたいな高音による歌い上げである。最高だぞおい。

 この『爆弾魔』、全編通して青春時代やその頃に居た「君」への心残りや、現在の自分の生き方への不満や、そういったものを爆発させたいと歌っている(のだと私は感じた)。これが私の現状にぶっ刺さった。

 数年前に、恋みたいなことをしたことがあった。その恋みたいなことはインターネット越しのもので、実在はなく、一度相手と会った後、自然消滅的に消えていったのだった。恋心が嘘だったとか、何か嫌いになるようなことがあったとかそういうわけではなく、ただ気恥ずかしさによる躊躇が原因だった(少なくとも私側はそうだった)。

 あの頃からずっと引きずっている、「もっと何かできたんじゃないか」という後悔と、「もっとはっきり言ってくれてもよかったんじゃないか」という、逆切れにも似た叫び声。思考回路が止まり、金と地位だけを追いかけて生きる死人の如き先輩社会人達の中で生きる現在の息苦しさ。自分が起こした問題にも、成し遂げた結果にも、誰も気づかない孤独感。

 『爆弾魔』は、そういう私の感情を歌にして、私に見せてくれた。その上で、その先さえもを示してくれた。

 吹き飛ばすしかないんだ。そのエネルギーはあるんだ。そうじゃなきゃ、この歌で感動したりしないだろ?

 私は親友に提案した。「ブログでもやってみない?」って。

3.まとめ

 ヨルシカはめちゃくちゃ最高。『爆弾魔』はなお最高。『負け犬にアンコールはいらない』と『ヒッチコック』と『ただ君に晴れ』もお気に入り。

 何度か書いているけど、ヨルシカの歌はいくつか、youtubeにフルサイズのものがアップしてある。アルバム『負け犬にアンコールはいらない』のサンプルもある。気になった人は聞いてみたらどうだろうか。エモいぜ。

www.youtube.comwww.youtube.com

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 そうそう、それから、n-bunaさんはyoutubeで個人開催の生放送を始めたみたいだ。まだ見れてないけど、ラジオや弾き語りをするらしい。ファンになったら要チェック!

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4.あとがき

 初めてブログ記事なんて書いた上に、後半はテンションに身を任せているので、誤字脱字あったら教えてもらえれば幸いです。

 次どんな記事書くかわかんないけど、書きかけのこの記事を書き上げるモチベーションをくれた、青白い肌の地下二階の同志についてでも書こうかしらんと思っています。